1998年
昇温時ゲル化型熱可逆ハイドロゲルの創傷被覆への応用
人工臓器
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- 巻
- 27
- 号
- 2
- 開始ページ
- 503
- 終了ページ
- 506
- DOI
- 10.11392/jsao1972.27.503
- 出版者・発行元
- JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
室温以下で水溶液、体温でハイドロゲルとなる高分子材料(TGP)を合成し、創傷被覆材としての使用について検討した。濃度10wt%のTGP生理食塩水溶液(ゾルーゲル転移温度約18℃)を、氷冷下ゾル状態でラットの全層皮膚欠損創(4x4cm2)に注入、体温でゲル化させた。TGPハイドロゲル被覆群では滲出液が全く漏出しなかったが、市販のハイドロコロイド創傷被覆材(コムフィール®)被覆群には大量の滲出液貯留を認めた。1週間後の組織所見より、TGP群では肉芽が繊維芽細胞で占められ、新生毛細血管再生が認められるのに対し、コムフィール®群では繊維芽細胞が乏しく、遊走細胞の浸潤が認められた。創が線状創となるまでに要する期間は、TGP群の4週間に対し、コムフィール®群では6週間であった。以上より、TGPハイドロゲルは複雑形状の創面に完全密着して創を湿潤に保ち、滲出液流失を防止、良好な治癒環境を形成して創傷の治癒を促進することが示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11392/jsao1972.27.503
- ISSN : 0300-0818
- ISSN : 1883-6097
- CiNii Articles ID : 10005941749