本研究では、野尻(2017)のInnovation Mapに対して「くさびのカタストロフィー曲面」を導入し、Innovation Map の2次元平面を3次元空間へと拡張することを試みている。その際、Innovation Mapにおける研究開発投資(比率)と投資成長率を、それぞれ分裂要因と平常要因として位置づけ、研究開発成果（特許出願数）を状態変数として設定することにより、くさびのカタストロフィー・モデルを構築している。これにより、研究開発活動の側面から日本のファインケミカル企業を4つの象限に分類するとともに、Innovation Map の「非対称性」をくさびのカタストロフィーの3次元空間上に記述している。