2018年4月 - 2023年3月
世代間移転と社会経済的地位・格差の継承に関する実証分析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
最近世界中で大きな話題になっている格差問題について論じる際、ある一時点において社会経済的地位の格差がどれだけあるかは言うまでもなく非常に重要であるが、世代間における社会経済的地位の相関がどれだけ高く、社会経済的地位の格差がどの程度代々継承されるかも同じくらい重要であり、研究に値する。なぜならば、スタート時点において人々が平等であることが望ましく、スタート時点においてすでに大きな社会経済的地位の格差があることは望ましくないからである。これまでの研究では、世代間における社会経済的地位の相関が強く、社会経済的地位が代々継承される傾向にあることが示されている。しかし、親から子への世代間移転(親から子への教育投資や遺産、生前贈与など)が、世代間の社会経済的地位および格差の継承にどの程度貢献しているのかは明確にされていない。そのため、本研究の目的は、親から子への様々な形の世代間移転が、世代間の社会経済的地位の継承、またそれに伴う格差の継承にどの程度貢献しているのかを、日本などからの個票データを分析することによって明らかにし、格差を軽減するための政策提言を行うことである。本研究の貢献は、(1)世代間の社会経済的地位および格差の継承における世代間移転の役割について検証している点、(2)親から子への移転を網羅的に捉え、様々な形の世代間移転を考慮している点、(3)国際比較を行っている点、(4)経済学的な観点から分析を行っている点である。当該年度においては、本研究の目的・研究計画に沿った複数の研究を平行して進め、多くの研究成果を挙げ、近年急増している住宅ローンの家計の資産蓄積行動に与える影響などに関する大変興味深い分析結果を数々得た。詳細については、下記の「現在までの進捗状況」および「今後の研究の推進方策」を参照されたい。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H00870
- 体系的課題番号 : JP18H00870