共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

金属錯体の生体分子への精密固定化を基軸とする精密制御生体分子反応場の創出

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H04274
体系的課題番号
JP18H04274
配分額
(総額)
6,240,000円
(直接経費)
4,800,000円
(間接経費)
1,440,000円

水中においても安定なカルボキサミドの鉄イオンへの配位に着目し、過酸化水素を酸化剤として選択的にアルカンを酸化する単核非ヘム鉄錯体Fe(dpaq)を開発してきた。Fe(dpaq)は金属酵素の機能の一部を再現するが、反応速度、基質特異性の面で天然酵素に及ばない。そのため、この錯体触媒をもとに高性能な人工酵素の創製を目指した。Fe(dpaq)錯体はヒト血清アルブミンの薬物結合サイトに強く結合する。種々の条件において酸化触媒能を検討した結果、Fe(dpaq)アルブミン複合体は過酸化水素を酸化剤としてプラスミドDNAを効率よく切断することを発見した。この結果は、Fe(dpaq)は蛋白質内部においても酸化触媒活性を発現できることを実証するものである。この結果をもとに、アルブミンの疎水ポケットに結合した鉄アミド錯体による不斉スルホキシド化を検討した。触媒回転数は、アセトフェノンを内部基準としGC分析により行い、不斉選択性はキラルカラムによるHPLC分析により行った。用いた鉄アミド錯体は、有機溶媒中で過酸化水素を用いた優れた選択アルカン酸化触媒となることが判明しているFe(dpaq)、水中で過酸化水素による一電子酸化反応活性(ペルオキシダーゼ活性)を示すことが判明している窒素4座カルボキシルアミド鉄錯体Fe(mpaq)、さらに、L-プロリンを出発原料とする窒素4座カルボキシルアミド鉄錯体Fe(Propaq)である。Fe(dpaq)は不斉を持たず、Fe(mpaq)はラセミ体として存在するが、Fe(Propaq)は不斉錯体である。不斉鉄錯体を用いた先行研究の反応条件に従い、触媒反応を評価した結果、錯体のみでは触媒回転数も低く、不斉選択性が観測されないが、アルブミン存在下では、触媒回転数が向上すること(Fe(dpaq)では10倍以上)、不斉選択性も僅かであるが観測されることが判明した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-18H04274
ID情報
  • 課題番号 : 18H04274
  • 体系的課題番号 : JP18H04274