2009年12月
自己免疫性甲状腺疾患患者における膵島自己免疫に関する臨床的・遺伝的研究
近畿大学医学雑誌 Medical Journal of Kinki University
- 巻
- 34
- 号
- 4
- 開始ページ
- 223
- 終了ページ
- 228
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 近畿大学医学会
[抄録] 目的:自己免疫性甲状腺疾患(AITD)患者における膵島自己免疫の実態を明らかにする.方法:AITD 患者866人(バセドウ病患者546人,橋本病患者320人)と非自己免疫性甲状腺疾患患者221人を対象にGAD 抗体陽性率と抗体価を比較するとともに,抗体陽性AITD 患者の臨床的特徴及びHLA-DRB1,DQB1 とCTLA4 の遺伝子型を陰性者と比較.成績:GAD 抗体陽性率はAITD 患者で対照者に比し有意に高率(5.8% vs. 0.6%,P<0.001).糖尿病有病率はGAD 抗体陽性者において陰性者に比し有意に高率(40.0% vs. 10.1%,p<0.0001),陽性者の中では高抗体価群で低抗体価群に比し有意に高率(64% vs. 16%,p=0.001).GAD 抗体陽性AITD 患者は陰性患者に比し,糖尿病発症年齢が有意に若く,BMIが有意に低く,HbA1c値,インスリン使用率が有意に高値.DRB1*0405-DQB1*0401ハプロタイプはGAD 抗体陽性AITD 患者で抗体陰性者,対照者に比し有意に高頻度.CTLA4 の6230G>A 多型(rs3087243)はAITD と有意の関連を示したが,GAD 抗体の有無とは関連を認めなかった.結論:AITD 患者ではGAD 抗体が高率に陽性を示し,抗体陽性者は1型糖尿病の臨床的,遺伝的特徴を有することが示された.
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0385-8367
- CiNii Articles ID : 120005736522