2009年6月30日
どのような動的学校画の特徴が学校適応状態のアセスメントに有効なのか?-小・中学生の描画からの検討―
教育心理学研究
- 巻
- 57
- 号
- 2
- 開始ページ
- 143
- 終了ページ
- 157
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.5926/jjep.57.143
- 出版者・発行元
- 日本教育心理学協会
本研究は,学校適応のアセスメントに関するKSD(動的学校画)の妥当性を検討すること,どのような描画特徴が,描画者の心理を投影しているのかを調べることを目的とした。627名の小・中学生を対象に,教員への親密性,友達への親密性,教室にいるときの気分(安心・リラックス),学校への適応状態を測定する質問紙を実施し,その後動的学校画を全員に施行した。解析を行い,以下のような結果を得た。(1)教員への親密性,友達への自発的親密性尺度の得点が高い児童・生徒は,人物像を笑顔で描き,自己像,友達像,教師像とも横向きあるいは正面向きで描く傾向にあった。(2)教室での安心尺度と,リラックス尺度の得点が高かった児童・生徒は,友達像の数を多く描く傾向にあり,尺度得点が低かった被調査者よりも教員像を横向きに描いていた。(3)KSDに描かれた学校場面の物語(「この場面のあと,何が起きると思いますか?」への回答)がポジティブな内容であることと,描画内容の統合性の高さが,描画者の学校適応が良好であることを示していた。以上の結果から,描画者の学校適応のアセスメントに有効であるというKSDの妥当性が示された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.5926/jjep.57.143
- ISSN : 0021-5015
- CiNii Articles ID : 110007339262
- CiNii Books ID : AN00345837