2005年
心理士の自己コントロール
保健医療社会学論集
- 巻
- 15
- 号
- 2
- 開始ページ
- 68
- 終了ページ
- 79
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.18918/jshms.15.2_68
- 出版者・発行元
- 日本保健医療社会学会
本稿では、インタビュー調査にもとづき、心理職の自己規制を検討する。職業集団の自己規制の方法には、各成員が個別に行う「個人的」コントロールと、成員が他の成員を評価しサンクションを与える「共同的」コントロールがある、と言われてきた。心理士の世界では、スーパーヴィジョンなどをつうじた第3のタイプのコントロールが行われている。スーパーヴィジョンなどへの参加は「個人的」選択にもとづいているが、そこでの自己の職業的行為の評価、修正は他の心理士の批判的眼差しを借りて(その意味では「共同的」に)行われる。心理士は、ケアの対象としてクライアントという行為者を措定しており、行為者=クライアントは、ケアのプロセスにおいて心理士を「ゆさぶる」。心理士は、これに過剰に「巻きこまれる」ことなく、心理士として振舞い続けるために職業的自己を二重化する。そのために他の心理士の批判的視線を必要とするのである。
- リンク情報
- ID情報
-
- DOI : 10.18918/jshms.15.2_68
- ISSN : 1343-0203
- CiNii Articles ID : 110009863559
- CiNii Books ID : AN10421975