MISC

2017年

腎ポドサイト障害進展におけるProteinase-activated receptor-1の関与

日本毒性学会学術年会
  • 中野 大介
  • ,
  • 管 瑀
  • ,
  • 劉 文華
  • ,
  • 張 一凡
  • ,
  • 李 磊
  • ,
  • 人見 浩史
  • ,
  • 平野 勝也
  • ,
  • 西山 成

44
0
開始ページ
O
終了ページ
53
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14869/toxpt.44.1.0_O-53
出版者・発行元
日本毒性学会

【目的】腎ポドサイトはタンパク尿漏出に対する重要なバリアーを形成する。本研究ではトロンビン受容体であるProteinase-activated receptor-1 (PAR1)のポドサイト障害進展における役割を検討した。<br>【方法】雄性Balb Cマウスにdoxorubicin (15 mg/kg, i.v.)を投与したネフローゼモデルに対し、溶媒(n=5)あるいはPAR1拮抗薬Q94 (5 mg/kg/day, s.c., n=5)を2週間投与し、各種腎障害パラメーターを検討した。糸球体組織はレーザーキャプチャー法にて採取し、バリアー分子の発現を確認した。また、培養マウスポドサイトにおいてfura-2を使用して細胞内カルシウム濃度を測定し、caspase-9にてアポトーシスの評価を行った。<br>【成績】doxorubicin投与によって生じる尿中アルブミン排泄量は糸球体内PAR1発現量と有意な正の相関を示した。このアルブミン尿ならびに血漿クレアチニン値の増加は、Q94の投与により有意に抑制された。Q94の投与はdoxorubicinの投与による糸球体中バリアー分子ポドシンおよびネフリンのmRNA発現量の減少を抑制した。さらに、Q94はdoxorubicinによって生じる糸球体ポドサイト障害(デスミン陽性部位)と糸球体硬化病変(PAS陽性面積増加)を有意に抑制した。このようなQ94の作用は、腎組織中酸化ストレスの減少を伴っていた。培養ポドサイトにはPAR1が有意に遺伝子レベルで発現しており、トロンビン投与(1 U/mL)による細胞内カルシウム濃度の上昇ならびにdoxorubicin投与(0.5 μM)によるcaspase-9活性の上昇を認めたが、いずれもQ94により用量依存性に抑制された。<br>【結論】以上の結果より、PAR1はポドサイト障害によるアルブミン尿の病態に重要な役割を果たしているものと考えられた。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14869/toxpt.44.1.0_O-53
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130006581968
ID情報
  • DOI : 10.14869/toxpt.44.1.0_O-53
  • CiNii Articles ID : 130006581968
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000345276235

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