共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年10月 - 2023年3月

カラハリ・コエにおける言語と音楽の相互関係:クリックとポリリズム

日本学術振興会  科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

課題番号
18KK0006
体系的課題番号
JP18KK0006
配分額
(総額)
17,940,000円
(直接経費)
13,800,000円
(間接経費)
4,140,000円

2018年度の主要な実績は、(1)過去に記録されたグイ音楽のアーカイブ編纂の作業開始、(2)ボツワナ大学での共同研究セミナー開催、(3)フィールドワークの実施、(4)音楽学的手法による調査方法の設計の精緻化のための討議、の4点に要約される。
(1)に関しては、1970年代~1990年代に人類学者や言語学者が、現在のボツワナ共和国中央カラハリ動物保護区内にあったグイ人の集落で収録した録音を電子化し、そこに含まれる音楽や関連するテキストの録音箇所を特定し、メタデータを録音記録に連結する目録の編纂を始めた。(2)については、研究代表者(中川)と研究分担者(松平)、研究協力者(大野仁美)がボツワナ大学を訪問し、同大学アフリカ言語文学研究科でセミナーを開催して、グイ語音韻論、グイ語文法、南部アフリカの楽器、をテーマとする研究発表をして、現地共同研究者たちおよびグイ語話者も交えた討議を行なった。(3)としては、中川と大野が文法構造にかかわる資料収集を、また、松平がグイ音楽と楽器にかかわる初期調査を行なった。松平の調査は、グイ人の音楽で現在最も頻繁に使われる楽器デング(いわゆる親指ピアノ)の製作過程の観察、デングを用いる歌(4曲)の実演の能動的参与観察、治療儀礼の音楽と舞踊の記録である。(4)の討議は、本プロジェクトのシドニー大学チームの民族音楽学者(Linda Barwick, Myfany Turpin)と日本チームの間でインターネット上で実施した。この討議によって、シドニー大学チームはグイ社会における伝統音楽衰退の現状について、日本チームは音楽学的資料収集の実際の手法について、それぞれの理解を明瞭にすることができた。また、現在のグイ社会と伝統音楽の関係というテーマに、伝統音楽の再活性化という今日的な意義をもつトピックも加わった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18KK0006
ID情報
  • 課題番号 : 18KK0006
  • 体系的課題番号 : JP18KK0006