MISC

2010年

藻類によるChl a →Chl d への変換

日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
  • 奥田 将旭
  • ,
  • 大橋 俊介
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  • 伊藤 慎吾
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  • 岡田 尚紀
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  • 岩本 浩二
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  • 白岩 善博
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  • 宮下 英明
  • ,
  • 小林 正美

2010
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115
終了ページ
115
出版者・発行元
日本植物生理学会

1993年に宮下は、Chl <I>d </I>を主要色素として酸素発生型光合成を行う海洋原核藻類<I>Acaryochloris marina</I>を発見した。Chl <I>d </I>はChl <I>b</I>と同様にChl <I>a</I>から酸化的に生合成されていると考えられているが、その詳細は不明である。Chl <I>a → d </I>変換では、Chl<I> a</I>の環Iのビニル基がC=C結合の切断を伴う酸化反応というかなり過酷な反応によりフォルミル基になる必要がある(-CH=CH2 → -CHO)。ところが、Chl<I> a</I>にはC=C結合が多数存在するため、通常の強い酸化反応ではこれらのC=C結合も反応してしまう。<br>我々は、プロテアーゼの一種パパインが含水アセトン中でChl<I>a</I>をChl <I>d </I>に変換することを偶然発見した。また最近、種々の野菜抽出物によってもChl <I>a</I> → Chl <I>d </I>変換が起こることを明らかにした。<br>ところで、Chl <I>a </I>の変性物としてPhe<I> a</I> や Chl<I>a'</I>がよく知られているが、Chl <I>d </I>も Chl <I>a </I>の変性物として見ることができる。今回我々は、藻類とChl <I>a</I> を含水アセトン中でインキュベートしたところ、Chl<I>a</I> がChl <I>d </I>に変化することを初めて明らかにした。この事実は自然環境の土壌や水圏の堆積物中など、あらゆるシーンにおいてChl <I>d </I>がPhe <I>a </I>やChl <I>a'</I> と同様に、artifact として観察される可能性を示唆している。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130006992590
ID情報
  • CiNii Articles ID : 130006992590
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000391945697

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