共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

軽度外傷性脳損傷におけるインフラマソームを介した自然炎症の関与

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K08920
体系的課題番号
JP18K08920
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

一昨年(平成30年度)の研究でASCノックアウトにより軽度外傷性脳損傷(MTBI)後のマウス脳内炎症反応が抑えられ、高次脳機能障害が軽減されたことが証明された。昨年度(令和元年度)は引き続き軽度外傷性脳損傷(MTBI)モデルマウスを用いて、損傷後脳内の組織変化、特にグリア細胞の変化を調べた。マウスの頭部に一日一回、合計5回の落錘により損傷を与えた脳組織を麻酔下で取り出し、損傷部位の特定と活性化したグリア細胞の分布を調べるため、脳組織の連続切片を各種染色法で確かめた。その結果、軽度外傷性脳損傷モデルマウスにおいて、白質の損傷がMTBI後1週目から広範囲で認められ、MTBI後12週目でも脳内の複数の部位で確認できた。活性化したグリア細胞もMTBI後一週目からマウス脳内の広範囲で確認されたが、四週目でワイルドタイプ(WT)マウスに比べてASCノックアウトマウスの脳内で活性化グリア細胞の減少傾向が見られた。12週目で、WTマウスに比べてASCノックアウトマウス脳内の活性化グリア細胞が有意に減少した。MTBI後24週目にマウス脳内のPhospho-tauの発現をウエスタンブロッティングで確認した結果、偽手術マウスに比べて、MTBIモデルマウスの脳内Phospho-tauの発現が増加したが、ASCノックアウトマウス脳内Phospho-tauの増加の程度がWTマウスより有意に低かった。
これらの結果から、MTBI後の高次脳機能障害が白質の損傷と神経炎症の拡大に関連していると考えられる。また、MTBI後のPhospho-tauの増加が神経炎症の抑制により減少したことが確認された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K08920
ID情報
  • 課題番号 : 18K08920
  • 体系的課題番号 : JP18K08920