日本-デンマークの共同プロジェクトである「J-D Tele Techワークショップ2019」が2019年6月にオールボー大学で開催された。そこでは,両国の遠隔医療や福祉テクノロジー開発に関連する医学,看護学,リハビリテーション学,バイオサイエンス,エンジニアリング分野の研究者,オールボー市,および近隣自治体の行政官と保健医療福祉専門職,そして福祉機器やロボット開発企業の関係者ら計40名が参集し遠隔医療や福祉分野のテクノロジー開発と利用の現状について研究発表,および意見交換を行った。また,医療機関や保健センター等を訪問し,多様なサービスの現状を見学した。デンマークにおける遠隔医療,および福祉テクノロジーの開発はuser-drivenの理念で行われ,大学が有用なシステムや機器を開発し,それをケアの実践現場が活用する循環が作られている。遠隔医療を行うための医療情報の一元管理と共有化は50年前から進んでおり,市民が自らの医療情報にアクセスできる。これら医療情報管理と利用方法の両者を検討することは,今後遠隔医療を推進する上で,わが国が取り組むべき大きな課題であることを理解することができた。(著者抄録)