共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年10月 - 2025年3月

アトムプローブトモグラフィーによる地球最古有機物質の原子構造解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

課題番号
20KK0081
体系的課題番号
JP20KK0081
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
18,590,000円
(直接経費)
14,300,000円
(間接経費)
4,290,000円

今年度はすでに所有している試料を用いて、予察的なデータの収集を行った。特に約27億年前のオーストラリアと約25億年前の南アフリカの代表的なストロマトライトの詳細な顕微鏡観察・ラマン分光分析・炭酸塩鉱物の炭素酸素同位体・炭質物の炭素安定同位体分析を実施し、以下の成果が得られた。
詳細な顕微鏡観察により、オーストラリアのチャート中の炭質物質は石英の粒間や硫化物・Fe-Ti酸化物と共存する2種類が認められ、大きさは球状(20-80μm)、フィラメント状(2-10μm)と形態により異なり、球状のものは主に硫化物・Fe-Ti酸化物に、フィラメント状のものは石英の粒間に産出することが明らかになった。形態別の顕微ラマン分光分析を実施したところ、球状に比べ、フィラメント状の炭質物の結晶度は低く、炭素安定同位体値からも有機物の痕跡を確認できた。炭質物質の炭素同位体分析の結果は、-30 ~-47‰である。
さらに、南アフリカの炭酸塩岩ストロマトライト炭質物質の炭素同位体分析の結果は-16~-20‰であり、形態別の顕微ラマン分光分析を実施したところ、球状に比べ、フィラメント状の炭質物の結晶度は低いことが明らかになった。
昨年に引き続き、南インドダールワール岩体のストロマトライトから抽出した炭質物質のFIBを用いた試料を作成し、STEM-EDS分析を試みたところ、炭素以外のAl, K, Si, O等の元素が検出され、ケイ酸塩鉱物と炭質物質のナノスケールの集合体であることが判明した。さらにTEMの画像解析によると、結晶度が低い炭質物質が検出され、このことは、ラマン分析で異なる結晶度の炭質物質が、単一サンプル内に存在することを指示する。
以上から、炭質物の形態ごとの結晶度・炭素安定同位体値に関する基礎的なデータを収集することができた。今後、現地調査を行い、より詳細な地球化学分析を実施する。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20KK0081
ID情報
  • 課題番号 : 20KK0081
  • 体系的課題番号 : JP20KK0081