2016年1月
無作為化比較試験による咀嚼力向上を目指した食育支援プログラムの握力向上への有効性
口腔衛生会誌
- 巻
- 66
- 号
- 1
- 開始ページ
- 15
- 終了ページ
- 19
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.5834/jdh.66.1_15
- 出版者・発行元
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会
本研究は,咀嚼力向上を目的とした食育支援プログラムの咀嚼力と握力の向上に対する有効性を検討した.研究の参加に同意が得られた公立高等学校普通科に在籍する高校生を対象とし,食育支援プログラム実施群と非実施群とに無作為に割り振った.食育支援プログラム開始前に歯科衛生士による保健指導を両群ともに実施し,さらに実施群には液体蒟蒻を応用した噛み応えのある豆乳・おからドーナツ(けっこうかみごたえあるドーナツ^[○!R],株式会社白帆タンパク製)を1日1個7日間よく噛むことを意識して食べることとした.両群とも開始前と終了時に,咀嚼力と左右の平均握力を測定した.直接的咀嚼力はチューインガムを用いて溶出糖量を測定し,間接的咀嚼力はデンタルプレスケール^[○!R]50HタイプRを用いて咬合力表示面積,平均圧,最大圧,咬合力を測定し,プログラム前後の変化を検討した.その結果,実施群33名(男子17名,女子16名)のプログラム前後の溶出糖量は,女子は53.7±9.4%から58.4±5.5%に,咬合力表示面積と咬合力は男女ともそれぞれ有意に向上し,男子の平均握力は39.8±7.1kgから42.2±7.7kg,女子は22.9±3.9kgから24.7±3.4kgとそれぞれ終了時のほうが有意に向上した.非実施群37名(男子17名,女子20名)の男子の溶出糖量は60.0±5.1%から57.9±5.6%と前後で有意に低下し,平均握力は男女とも有意な変化は認められなかった.したがって,本研究で実施した食育支援プログラムは,高校生の咀嚼力および握力の向上に有効であると示唆された.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.5834/jdh.66.1_15
- ISSN : 0023-2831
- CiNii Articles ID : 110010039437
- CiNii Books ID : AN00081407