共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2020年3月

電流と格子回転・歪みによる複合共役場を用いた拡張多極子検出の試み

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
18H04297
体系的課題番号
JP18H04297
配分額
(総額)
8,710,000円
(直接経費)
6,700,000円
(間接経費)
2,010,000円

公募研究D01班の鬼丸らとの共同研究としてPrを非磁性のYによって希釈したY1-xPrxIr2Zn2単結晶試料(x = 0.0, 0.034, 0.37)の系統的な超音波実験を行った。その結果、x=0.034の希釈極限試料では四極子近藤効果を実証する上での決め手となる弾性定数(C11-C12)/2の対数的温度変化の観測に成功した。一方、x = 0.37の中間濃度試料の極低温領域では対数的よりはむしろT^(1/2)に比例する温度依存性を示すことがわかった。また新たに超音波分散を発見した。
公募研究B01班の平井らとの共同研究として、パイロクロア酸化物Cd2Re2O7の逐次構造相転移にたいして予言されている電気トロイダル四極子秩序の実験的証拠を得るために、横波弾性 定数(C11-C12)/2とC44を横波超音波で測定し、秩序変数の対称性の検証を試みた。その結果、中間相において、巨大な周波数変化を伴う超音波吸収の増大と弾性定数のソフト化を観測した。
上記の成果は強相関電子系の多極子自由度を観測する本研究の目的と合致し、本新学術領域内での新たな共同研究が芽生えたことで、超音波測定技術を活かした今後のさらなる研究発展が期待できる。よって、当初の計画以上に進展したと言える。東北大金属材料研究所の25T-SCMに同軸管内蔵の2軸ゴニオメータを組み合わせ、URu2Si2のc面内磁気異方性を弾性定数で検証する実験の準備を終えた。しかし、本年度マグネットの不具合が発生し共同利用実験は延期となった。
研究当初から開発を続けている高温測定装置は耐熱同軸管の高温領域でのテストが完了し、冷却水系の安全スイッチ、防爆用のキャビネットなどを新たに設置し単結晶Siを用いた予備測定に漕ぎ着けた。しかし研究期間内にBaMn2As2の高温領域における弾性応答の測定は達成できなかったため、今後も研究を継続する予定。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-18H04297
ID情報
  • 課題番号 : 18H04297
  • 体系的課題番号 : JP18H04297

この研究課題の成果一覧

論文

  4

講演・口頭発表等

  4

メディア報道

  2