共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

鉄鋼循環チェーンにおける不純物制御によるリサイクル高付加価値化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H04147
体系的課題番号
JP18H04147
配分額
(総額)
44,720,000円
(直接経費)
34,400,000円
(間接経費)
10,320,000円

鉄鋼材中Cuの混入源として、建築解体物由来の分電盤や配線等の可能性が動的MFAにより指摘されたため、建築解体から発生したヘビースクラップ約2トンを展開調査し、混雑物に関する実態を観測した。廃品中Cu濃度が14-23wt%あり、処理シナリオによっては0.52wt%の鉄鋼在中Cu濃度になる可能性が明らかになった。
日本におけるリサイクル鉄鋼材中に存在する不純物元素を同定した。Mn, Cu, Cr, Si, Ni, P, S, Mo, Asは全ての試料で、Sn, Co, B, Vはほぼ全ての試料で、Al, Zrは一部の試料で混在することが分かった。一方、Sb, W, Nb, Pb, Ti, Bi, Ce, Mgはどの試料でも混在が見られなかった。一部の元素は、精錬時にスラグに分配されるためと考えれらる。上記のうち、Cu, Snが溶鉄中に溶解する種々の元素の活量におよぼす影響について、実験による新たなデータの測定と文献の収集の双方よりデータベースの確立を進め、データに基づき溶鉄中Cu, Snが他の不純物元素に与える影響を調査した。また溶解凝固冷却実験を実施し、銅硫化物の析出機構について、元素マッピングによりCuの偏析が要因になっていることを明らかにした。
混在する不純物濃度が、時期とともに変化してきたかどうか調査するため、過去から生産されてきた鉄筋棒鋼を建築物解体現場から試料採取を進め、約150点のサンプルを得るに至った。
動的マテリアルフロー解析用産業連関モデル(MaTrace)に基づき、鉄鋼材の動的循環におけるFe, Ni, Crの流れを可視化した。また同モデルを用いた事例として、自動車エンジンを再生利用することによる物質と価値の散逸回避効果を同定した。これにより、再生利用は、素材リサイクルと同等程度の物質散逸の回避に加えて、より優れた価値の散逸回避が期待できる可能性が示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H04147
ID情報
  • 課題番号 : 18H04147
  • 体系的課題番号 : JP18H04147