2009年8月
東京農業大学厚木キャンパスにおける植物多様性の保全
東京農業大学農学集報
- ,
- 巻
- 53
- 号
- 2
- 開始ページ
- 86
- 終了ページ
- 102
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
都市化の進んだ神奈川県厚木市に位置する東京農業大学厚木キャンパスにおいて、1970年代と2004年調査の結果を比較検討を行なった。その結果、厚木キャンパスの維管束植物相は、1970年代に462種類が、2004年に418種類が記録され、総出現種類数は44種類が減少していた。これを構成種によって比較したところ、2004年には195種類の植物が約30年間に消失したことが明らかになった。そのうちの87.6% は在来植物であり、絶滅危惧種の12種が含まれていた。現在においても、絶滅危惧種のキンラン、カタクリを含む多くの在来植物が確認されているが、調査区画の植物相の結果よりそれらの多くは雑木林、草地を生育場所としていた。厚木市南東部の地域においてキャンパスに残存する雑木林、草地は動植物にとって重要な生息生育場所である。またキャンパス内の植物相は今後も衰退していく可能性もあり、早急に保全していくことが必要だと示唆された。
- ID情報
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- ISSN : 0375-9202