共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

グルコース感受性転写因子ChREBPを介したケトン体代謝調節機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K00850
体系的課題番号
JP17K00850
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

今年度は、ChREBP発現アデノウイルスを経静脈的にマウスに感染させ、ChREBP過剰発現による血中ケトン濃度への影響を検討した。さらに、トリグリセリド(TG)代謝に対する効果をFgf21およびAngptl3とChREBPの関連に注目し明らかにした。ChREBP過剰発現マウスでは、(1)血糖の低下、(2)血遊離脂肪酸増加および血β-hydroxybutyrate (OHBA)低下、(3)de novo lipognesis 増加や脂肪酸酸化 (Acox低下、Acc2増加) 低下による肝TG増加、特にElovl6やScd1遺伝子増加による肝脂肪酸組成の変化(C18:1 n-9増加、C16:0低下)、(4)血TGの低下(特にVLDL-TG)、血HDL-c低下がみられた。さらに血TG低下に一致して、血Fgf21増加、血Angptl3低下が見られた。また血HDLc低下に一致して、血Angptl3の低下が見られた。なお、血Fgf21増加により誘導されるPpargやUcp1遺伝子発現増加が白色脂肪組織で見られた。ChREBP過剰発現により、血OHBA低下が見られた。その理由として、ケトン合成の律速酵素であるHmgcs2 遺伝子は不変であったため、β酸化酵素の低下によるAcetyl CoAの供給が低下したためと考えられた。これは、ChREBPノックアウトマウスで見られるメカニズム(細胞質NAD/NADH比低下、遊離脂肪酸の供給低下)とは異なる。また、血TGの低下にはFgf21の増加、Angptl3の低下による末梢組織での脂肪酸利用の亢進のためと考えられた。以上から、ChREBPは肝TGおよび血TGを逆向きに調節する。血中TG調節には肝からの液性因子(FGF21やAngptl3)が関与する可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K00850
ID情報
  • 課題番号 : 17K00850
  • 体系的課題番号 : JP17K00850