超遠心力場における固体状態の錫同位体分別
2012年(平成24年)春季第59回応用物理学関係連合講演会
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- 開催年月日
- 2012年3月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 東京
- 国・地域
- 日本
本研究では超遠心力場下の同位体分別の程度と、それが原子の質量に依存しているかどうかを確かめるべく錫を用いた実験を行った。用いた試料は純粋な錫であり、これを(1)160000rpm(最大1.02$\times$$10^6$g), 220$^{\circ}$C, 100時間、(2)100000rpm(最大0.40$\times$$10^6$g), 220-230$^{\circ}$C, 24時間、(3)80000rpm(最大0.25$\times$$10^6$g), 220$^{\circ}$C, 24時間の3つの条件で遠心実験を行った。いずれの場合も固相のままである。試料中の同位体比は二次イオン質量分析計(SIMS)で行った。あらかじめ同位体比を決定した固体錫を二次標準として用いることで、試料中の同位体比を決定した。その結果、(1)の条件の試料で最も大きな同位体比変動が確認され、その変動の大きさは$^{116}$Sn/$^{120}$Sn比で初期値から2.6$\pm$0.1\%にも達した。一方、(2)と(3)の条件でも同位体比の変動が確認されたが、それらの変動幅はそれぞれ$^{116}$Sn/$^{120}$Sn比で初期値から1.2$\pm$0.2\%, 0.4$\pm$0.2\%と、(1)とは実験時間が異なるとはいえ、大まかに加えた遠心力の大きさに相関していた。これらの同位体比変動のメカニズムを明らかにするため、3同位体プロットを作成した。完全に質量依存のフラクショネーションラインに乗ることから、実験的にも遠心力場中の同位体変動が原子の質量依存であることが確認できた。