2009年11月
通時態,継時態,そして構造通時態
『古典語研究の焦点 武蔵野書院創立90周年記念論集』(武蔵野書院)
- 開始ページ
- 964-984
- 終了ページ
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
本稿の目的は,「構造通時態」という言語史理論の基礎概念を提唱するとともに,その記述モデルを報告することにある。ソシュールが提唱した通時態が言語史の構造的記述にとって有効でないことは明らかである。本稿ではそれにかわる概念として,ルイ・イエルムスレウの「継時態」と,エウジニオ・コセリウの史的構造意味論を土台にした「構造通時態」という二つの概念を紹介し,それらを「『日本書紀』原漢文における漢語死亡動詞語彙の変遷」の実証的研究に適用することにより,構造的記述が可能であることを実証した。