2019年10月
【軟部組織の石灰化-血管と心臓弁】血管石灰化促進の病態 内膜石灰化と中膜石灰化の違い
(株)日本メディカルセンター 腎と骨代謝
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- 巻
- 32
- 号
- 4
- 開始ページ
- 267
- 終了ページ
- 274
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
<文献概要>血管石灰化は血管壁にリン酸カルシウムが沈着する異所性石灰化であり,心血管イベントの発症と関連する重要な病態であると理解されている.血管石灰化はその沈着部位により内膜石灰化と中膜石灰化の二つに大別される.内膜石灰化は動脈硬化性プラークに認められる石灰化で,内腔狭窄やプラークの破綻などにより動脈硬化性疾患(心筋梗塞,脳梗塞,閉塞性動脈硬化症)の発症に関与する.一方,中膜石灰化は中膜内に全周性に進展する石灰化で動脈壁硬化を引き起こし,心不全,左室肥大,拡張機能障害などをもたらす.これらの石灰化の発症には,骨芽細胞への形質転換,基質小胞による石灰化など共通の機序が関与している.内膜石灰化が炎症主体の病態で促進されるのに対して中膜石灰化は代謝異常主体の病態で促進される.両方の石灰化を促進する病態である加齢,糖尿病,慢性腎臓病では,両方の因子が関与しているものと推察される.
- ID情報
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- ISSN : 0914-5265