共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

書入をふまえた『浜松中納言物語』新校本の作成

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K02439
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,210,000円
(直接経費)
1,700,000円
(間接経費)
510,000円
資金種別
競争的資金

1、諸本の本文の翻刻作業に取り組み、データ化を進めた。ただし、新校本において各本文をどのように対照するべきか、そのスタイルはまだ決定できていない。
2、京都大学総合博物館勧修寺家旧蔵本を調査し、撮影を行った。
3、書入の翻刻と各本の関係整理については、宮内庁書陵部蔵清水浜臣本・大阪府立中之島図書館不忍文庫本・早稲田大学図書館九曜文庫本(以前は兵庫県立神戸高等学校蔵)・刈谷図書館斯豆能耶旧蔵本・京都大学文学研究科図書館蔵岡村保孝本である。それぞれの書入を比較、検討し、清水浜臣本の流れを汲む諸本の整理を進めることができた。この成果の一部は東京大学文学部国語学研究室本をはじめとする諸本の書誌調査結果とあわせて、「『浜松中納言物語』書誌点描─清水浜臣本書入・「貫之もの語」など─」(『宇部工業高等専門学校研究報告』第65号 2019.3)にて報告した。岡村保孝本はすでにモノクロの複写物を購入していたのだが、京都大学にて実見したところ、何らかの基準をもって朱・墨の書き分けがされていることが判明した。また、清水浜臣の書入を書写してはいるものの、浜臣説を踏襲する意識はそれほど強くはなく、むしろ、自説を積極的に示している様相が確認できた。特に「各文の主語は誰なのか」について熱心に検討しており、『浜松中納言物語系譜』執筆に向けての基礎研究としての痕跡を辿ることができた。
4、3やこれまでの成果を整理し、『新校本』の「諸本解説」の執筆を進めた。

ID情報
  • 課題番号 : 17K02439