共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年4月 - 2007年3月

控訴審改革に関する比較法的研究―控訴制限、弁論更新権を中心に―

科学研究費補助金  基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17530066
体系的課題番号
JP17530066
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
550,000円
(直接経費)
550,000円
(間接経費)
0円
資金種別
その他

本研究は、ドイツ法、オーストリア法、フランス法、アメリカ法における控訴審改革の詳細を、統計資料や裁判実務の実態などを調査して、分析・検討し、その上で、わが国の控訴審の実態を調査し、理論的考察を行うこと目的とした。昨年度実施した控訴審実務についての聞き取り調査に基づき、比較法的観点から分析を行った。その結果について、実際に審理を行っている控訴審裁判官と議論し、控訴審改革の方向性とその点に関する比較法的研究を重点的に実施した。本研究において抽出した控訴審改革について具体的かつ重要ポイントとは、以下の三つである。まず、(1)控訴審における控訴受理(理由)のあり方である。(2)控訴審における審理のあり方である。ここでは(1)第1回結審の実質、問題点、(2)争点整理の方法、とくに、控訴審における新たな主張の取扱い、時期に遅れた攻撃防御方法の処理などについて随時提出主義から適時提出主義への転換を考慮して、検討した。(3)控訴審における釈明のあり方、とくに現実には事後審的運用がなされている控訴審での釈明のあり方について分析・検討を加え、(4)人証調べについて必要性の吟味も含め、分析、検討した。第三に、(3)(1)、(2)を前提としたうえでの続審制の再検討である。共同研究の結論としては、続審制を維持したうえでの事前手続の導入などを考慮した柔軟な審理が望ましいが、控訴審改革は、既判力基準時との関係、裁判所の釈明義務との関係、再審制度との関係、上告審との関係などを考慮したうえで実行すべきことになる。わが国の近時の改正が、第1審集中化という方向性をもってなされたこと自体は問題ないが、それが、他制度との連関性の中で実施されたと思われない点が問題である。控訴審改革を通して、第1審から上告、再審までの制度設計を考える。こうした検討結果については、岡山大学法科大学院紀要「臨床法務研究」第4号に掲載予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17530066
ID情報
  • 課題番号 : 17530066
  • 体系的課題番号 : JP17530066