2010年 - 2012年
人工核酸を用いた遺伝子配列特異的な微生物生育抑制技術の開発と複合微生物系への展開
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
本研究課題では、微生物群集のコントロール技術の1つとして、アンチセンス技術を応用し、特定の微生物を遺伝子配列特異的に阻害・殺傷する技術を開発することを最終目的としている。本年度はLNA(Locked Nucleic Acid)を用いた場合の16S rRNAを標的とする増殖阻害効果の検討を継続した。まずはPNAを用いた実験で実績のある細胞膜透過ペプチドをLNAに付加したLNAオリゴを用いて増殖阻害実験を行った。その結果、peptide無しのLNAオリゴと比較して阻害効果の向上が確認できた。しかしながら、標的微生物の増殖を確実に抑制するためには高濃度にLNAオリゴを添加しなければならず、特異的な増速阻害の達成が難しかった。そこで、アンチセンス技術の本来の標的であるmRNAを標的とした、増殖阻害の検討を行った。標的としては、環境微生物分野の解析で広く用いられている機能遺伝子であるメタン酸化遺伝子のpmoAを用いた。既存のpmoA遺伝子を標的としたPCRプライマーを参考にLNAオリゴを設計し、まずは純粋菌株にたいして用いて実験した。その結果、LNAオリゴの添加量の増加に伴って微生物の増殖が徐々に抑制される事が確認できた。しかしながら、その増殖抑制効果が塩基配列特異的なものかどうかの確認にはいたらなかった。さらに、ペプチドを付加したLNAオリゴは非常に高価なため、実際の環境微生物を標的とした実験では、他の安価な方法を開発する必要が考えられた。
- ID情報
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- 課題番号 : 10J07930