2022年
多診療科の連携で肺高血圧緊急症から両側生体肺移植に繋ぎ救命し得た間質性肺炎の一例
福岡大学医学紀要
- 巻
- 49
- 号
- 1
- 開始ページ
- 33
- 終了ページ
- 39
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 出版者・発行元
- 福岡大学研究推進部
肺高血圧を伴う重度間質性肺炎,特にその増悪により急性循環呼吸不全となる肺高血圧緊急症はきわめて難治性の病態である.症例は52歳,男性.急速に進行する間質性肺炎に対し生体肺移植を計画していた.間質性肺炎の進行に伴い高度の2次性肺高血圧を認めていたが,肺移植手術前に肺高血圧緊急症により循環呼吸不全に陥った.直ちに,V-A ECMOを導入し全身状態を安定化させ肺移植術の実施を考慮したが,ECMOサポートを開始後,高度の心収縮能の低下を認めた.それに対し,迅速かつ入念な評価で,新規の心原性イベントはなく,高度の右心負荷に伴う両心不全傾向にV-A ECMOによる心後負荷が加わったことが原因と診断した.大動脈バルーンパンピングで心後負荷を軽減,心機能の回復を図り,予定通りの両側生体肺移植術を実施した.福岡大学初のECMOブリッジからの肺移植成功例となったが,その背景として,肺移植班による生体肺移植実施のための入念な準備に加え,急変時に多くの診療科による迅速かつ適切な診療協力が不可欠であった.(著者抄録)
- ID情報
-
- ISSN : 0385-9347
- 医中誌Web ID : W421420006