共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

分子演算システムによる腫瘍由来核酸の高速パターン診断

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
19H00901
体系的課題番号
JP19H00901
配分額
(総額)
45,630,000円
(直接経費)
35,100,000円
(間接経費)
10,530,000円

本研究ではDNAコンピューティング技術とナノポア計測によるラベルフリーDNA分子検出法を組み合わせることにより、早期がん診断マーカーとして期待されるmicroRNA(miRNA)群のがんパターン診断法の構築をめざす。申請者はこれまで、ナノポア計測によるDNA演算出力分子の迅速検出、これを利用したmiRNA群のパターン診断への応用について研究してきた。最近我々が開発した胆管癌時に発現亢進する5種miRNAパターン認識法が、実際のがん患者の血液検体にも適用可能であることを見出している。これまで熱力学的シミュレーションを用いた診断用DNA設計法の最適化、実検体を用いた計測、また胆管癌以外の口腔扁平上皮癌を診断するためのmiRNAパターンの決定をマイクロアレイ解析および先行研究のメタアナリシス解析に関して行った。これらの実験を推進する中で、これまでナノポア計測では計測不可能であった超低濃度領域(~fM)のmiRNAを検出する方法を発見したが、その機構は明らかではなかった。
本年度は超低濃度領域でのナノポア検出の機構を実験、理論の両方から評価し、ポア二分子が挿入するときのエネルギー障壁が実験条件によって変化することを見出した。現在この結果を投稿中である。分担者の鈴木は、別のアプローチからの診断の高感度化を見据え、リポソーム内核酸増幅法の確立を目指している。今年度は、定量解析に向けて最重要課題である、マイクロ流路を用いた均一リポソーム製造法を確立した。並行して、複合コアセルベートを、サンプル中に低濃度で存在する核酸を高濃縮する目的に利用する課題に取り組んだ。今年度はこれらに関連する成果に関して、査読付き論文3報、特許1件出願、国内外の複数の学会において公表した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H00901
ID情報
  • 課題番号 : 19H00901
  • 体系的課題番号 : JP19H00901