2018年4月 - 2021年3月
光応答性分子の光誘起結晶成長による新規表面機能材料の創生
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
本年度は、自身が筆頭著者となる論文3報を論文化することができた。まず、ジアリールエテン結晶の光誘起結晶成長を用いたバイオミメティック材料の開発に関して、二つのジアリールエテンを混合することで、テングシロアリの翅の表面構造とその機能を再現することに成功した。この機能は、雨を弾き、霧を集める機能を有していることから、霧から水を創る技術に応用することが期待されている。この研究に関しては、Commun. Chem. 誌にて論文が掲載された。また、ハスの葉の超撥水性の起源であるダブルラフネス構造をジアリールエテン結晶の光誘起結晶成長を用いて再現し、そのサイズ、間隔などを精密にコントロールすることで、より水滴を弾く表面の作製に成功した。この結晶成長技術は、複雑な表面形状を制御することが可能な技術であり、固体表面の濡れ性の制御や、フォトニック結晶材料への応用が期待されている。この研究に関しては、Langmuir誌にて論文が掲載され、バックカバーにも採用された。また、ジアリールエテン結晶の光誘起屈曲現象を用いた物質輸送表面に関しては、光で屈曲する板状のジアリールエテン結晶が無数に成長した表面上にポリスチレンビーズをのせ、紫外光照射方向を変えることによる、物体を意図した方向へ輸送するシステムを開発することに成功した。この研究は、フォトクロミック結晶を用いた、光照射のみで駆動するソフトロボットとしての応用が期待されている。この研究に関しては、Angew. Chem. Int. Ed.誌にて論文が掲載され、バックカバーにも採用された。
- ID情報
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- 課題番号 : 18J20078
- 体系的課題番号 : JP18J20078