共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

皮下空洞菌球留置による慢性アスペルギルス症マウスモデルの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K16176
体系的課題番号
JP18K16176
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,030,000円
(直接経費)
3,100,000円
(間接経費)
930,000円
資金種別
競争的資金

現代の代表的な難治性感染症の1つである慢性アスペルギルス症は、病態を再現している適切なモデルの欠如が基礎研究の進展を阻む最大の要因となっているため、本研究では慢性アスペルギルス症動物モデルとして皮下空洞アスペルギルス菌球留置マウスモデルの確立を試み、生体と菌球の長期相互作用を再現することで慢性アスペルギルス症の病態解明を目指している。
初年度は、マウスの皮下空洞の作成手技の確立および、皮下空洞内の菌球の維持について検討を行った。マウスの皮下空洞は人為的に皮下に空気を注入して作成した。しかし、時間経過と共に空洞内の空気は吸収されていき、空洞の維持が困難となったため、3Dプリンターで作成した人工構造物を留置することで空洞を維持することを試みたが、人工構造物そのものによる侵襲が大きく、皮膚の切開創の治癒にも支障をきたしたため、断続的に空気を注入することで空洞を維持する方法へ切り替えた。
液体培地内で作成したAspergillus fumigatusの菌塊を皮下空洞に直接留置したところ、健常マウスであっても予想に反して著明な組織侵襲を示すことが明らかとなった。よって、空洞内で菌球が組織に侵襲することなく長期間維持されながら増殖していくためには、「空洞」以外の要素について探索しなければならないことが判明した。
まずは宿主側の因子として、慢性の病態ではアスペルギルスに対するIgGが陽性となっており、このような液性免疫が侵襲の抑制に重要な役割を持つと仮説を立てた。そこで、菌球をホモジナイズした菌液を定期的にマウスに腹腔内投与することでマウスを感作し、沈降抗体が陽性となることを確認して菌球を留置した。組織侵襲の程度は軽減したものの、それでも組織侵襲は残存した。そこで、今度は菌体側の因子を検討しているところである。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K16176
ID情報
  • 課題番号 : 18K16176
  • 体系的課題番号 : JP18K16176

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

  1
  • Masato Tashiro, Ryosuke Hamashima, Yuichiro Nakano, Hotaka Namie, Yuya Ito, Tatsuro Hirayama, Kazuaki Takeda, Naoki Iwanaga, Kodai Nishi, Hong Liu, Takahiro Takazono, Takeshi Tanaka, Akira Watanabe, Yoshihiro Komohara, Akitsugu Furumoto, Katsunori Yanagihara, Hiroshi Mukae, Scott G Filler, Koichi Takayama, Koichi Izumikawa
    20th International Aspergillus Meeting 2024年3月12日