2013年9月
日本人閉経後女性における腟症状の現状 Webアンケートの解析から
日本女性医学学会雑誌
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- 巻
- 21
- 号
- 1
- 開始ページ
- 36
- 終了ページ
- 41
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (一社)日本女性医学学会
閉経後日本人女性における腟症状の現状を検討することを目的として、更年期外来受診者およびドライシンドロームの現状把握のために施行されたWebアンケートにおける一般閉経後女性からの回答を解析した。対象は東京歯科大学市川総合病院産婦人科における更年期外来である秋桜外来を受診した有子宮かつ自然閉経後女性121名(年齢:53.0±6.3歳(mean±SD)、閉経後期間:4.6±4.7年)およびマクロミル社のインターネット・リサーチシステムに回答した未閉経女性132名(年齢:40.2±6.3歳)と有子宮かつ自然閉経後女性152名(年齢:63.4±7.6歳、閉経後期間:12.6±8.4年)である。腟乾燥感、褐色帯下、腟そう痒感、性交痛の4症状について、なし、症状弱、中、強の4段階から回答いただいた。Webアンケートに回答した一般閉経後女性では何らかの腟症状を有する率は28.9%であり、更年期外来受診者における50.4%よりも有意に低かった。また、症状別の検討においても腟そう痒感以外は更年期外来患者よりも有意に低値であった。一方、未閉経女性との比較では褐色帯下、腟そう痒感、性交痛において未閉経女性が高い有症率であり、前2症状では有意に高かった。ただし、症状が強い症例に限ると、有意差はないものの、閉経後女性が4倍高い有症率であった。腟症状と他の更年期症状との関連を検討したところ、何らかの腟症状を有した女性においては抑うつの合併頻度は68.2%とのぼせの合併頻度(50.0%)よりも有意に高く、腟症状においては心因の検討も必要であることが示唆された。今回の検討における腟症状の有症率は、一般閉経後女性においては欧米の報告よりも低い結果であったが、それでも約30%は愁訴を有していることが明らかになった。今後、大規模研究により日本人女性における腟症状の実態を解明するとともに、その背景因子の解析や対応方法を検討していく必要があると考えられた。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 2185-8861
- 医中誌Web ID : 2013376414
- CiNii Articles ID : 40019809094
- CiNii Books ID : AA12548738