共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

TTF-1の網羅的エピゲノム解析に基づくEGFR-TKI耐性獲得機序の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究
  • 穂苅 諭

課題番号
21K16112
体系的課題番号
JP21K16112
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

CCLE(Cancer Cell Line Encyclopedia)で公開されているRNAシークエンスによる細胞株遺伝子発現データにおいて、KRAS変異肺腺癌細胞とEGFR変異肺腺癌細胞それぞれについて、TTF-1高発現の細胞と低発現の細胞で発現に差のある遺伝子に注目して解析を行った。
Gene Ontology解析によりKRAS変異肺腺癌細胞においてTTF-1は上皮の発達に関与しているということが示唆される結果が出た。一方、EGFR変異肺腺癌細胞においてTTF-1はサイトカインを介したシグナル経路に関与しているということが示された。GSEA(Gene Set Enrichment Analysis)を用いた遺伝子解析においても、同様にKRAS変異肺腺癌細胞では上皮系、EGFR変異腺癌細胞では免疫系の反応に関与することが示された。
KRAS変異肺腺癌細胞株であるH441細胞(TTF-1高発現)及びA549細胞(TTF-1低発現)を用いた実験では、TTF-1の存在下でTGF-βによる上皮間葉転換の誘導が抑制されることが分かった。一方、EGFR変異肺腺癌細胞株であるH1975(TTF-1高発現)及びPC-9(TTF-1低発現)を用いた実験では、TTF-1はTGF-βによる上皮間葉転換を抑制する機能はないことが分かった。
さらに、TTF-1導入株を用いた実験では、A549細胞(KRAS変異)においてTGF-βによる上皮間葉転換誘導が抑制され、PC-9(EGFR変異)において同様の抑制はみられなかった。
今後、TTF-1抗体を用いたクロマチン免疫沈降シークエンスやTTF-1ノックダウン細胞株のRNAシークエンスの解析を進め、TTF-1の制御遺伝子を同定して各種細胞間で比較検討する予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K16112
ID情報
  • 課題番号 : 21K16112
  • 体系的課題番号 : JP21K16112

この研究課題の成果一覧

受賞

  1

講演・口頭発表等

  2