共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

咀嚼嚥下障害モデル動物による腸内細菌叢の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
19K10461
体系的課題番号
JP19K10461
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

高齢者や摂食嚥下障害患者では、誤嚥性肺炎や低栄養を予防するため経口摂取を断念し、胃ろうや腸ろうなどの経腸栄養を選択することがあるが、長期化すると消化管運動機能が低下し、慢性便秘などが生じる。近年、消化管運動と腸内細菌叢との関連が指摘されているが、嚥下障害や経腸栄養管理をする患者の腸内環境に関する報告はほぼ皆無である。本研究の目的は、咀嚼障害/胃ろうモデル動物を作製し、経腸栄養により、(1) 栄養状態、咀嚼筋機能が変化するか明らかにすること、(2) 腸内細菌叢にどのような影響を及ぼすかの基礎的データを取得すること、である。
2019年度は予備実験として、嚥下障害患者が食形態の調整のために用いるとろみ剤が、経腸栄養剤の吸収に影響を及ぼすかどうかを検討した。4週齢のSD系雄性ラット16匹を用い、まず固形飼料で7日間飼育した。次にラットを4匹ずつ4群に分け、液体飼料群、とろみ濃度の異なる調整飼料を用いて、14日間飼育した(A群:液体飼料、B群:0.5%とろみ飼料、C群:1%とろみ飼料、D群:2%とろみ飼料)。摂取量は100kcal/匹/日としすべての飼料を経口摂取させ、体重の推移、および飼育後に臓器重量の計測と血液生化学検査を行った。統計学的に検討した結果、体重増加率はA群と比較してC群、D群で有意に低値を示した。腎臓重量はA群と比較しD群で有意に低値であり、生化学検査は、C群とD群において血中トリグリセロール(TG)、D群で血中グルコース(GLU)が有意に低値であった。本研究結果より、とろみ剤の添加は栄養吸収を阻害し、血中の脂質および糖の吸収を抑制する可能性が示唆された。これらは、とろみ剤に含まれる増粘多糖類のキサンタンガムの物理化学的特性によるものと考えられ、今後はより詳細にとろみ剤による栄養吸収抑制のメカニズムを検証する予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K10461
ID情報
  • 課題番号 : 19K10461
  • 体系的課題番号 : JP19K10461