論文

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2019年9月

北琉球喜界島上嘉鉄方言の述語疑問詞について

方言の研究
  • 白田理人

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265

北琉球喜界島上嘉鉄方言における単独で述語を成す特殊な疑問詞(以降「述語疑問詞」)nuwa/nuka/nukai「なぜ,どうした」,duwa/duka/dukai「どこ(にいる/にある)」の形態的/統語的/意味的特徴(以下5点)について,述語疑問詞をその他の疑問詞と対照して記述した。①述語疑問詞は形態的構造が共通し,語幹nu-/du-と接辞-wa/-ka/-kaiから成る。②疑問詞疑問文の述語は一般的に疑問文末助詞を伴うが,述語疑問詞は助詞なしで単独で述語を成す。③述語疑問詞では〈問い〉と〈疑い〉の言語行為の区別が指定されているが,他の疑問詞にはこのような指定がなく,疑問文末助詞によって別に標示される。④述語疑問詞は丁寧標示と共起できず,聞き手が目上の発話では用いられない。⑤述語疑問詞を含む文は,疑問補文標識=kaによる埋め込みができない。

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