講演・口頭発表等

国際会議
2016年1月

高温高圧水中におけるステンレス鋼すき間内の溶液導電率のIn-situ分析

17th Asian Pacific Corrosion Control Conference (APCCC-17)
  • 相馬 康孝
  • ,
  • 加藤 千明
  • ,
  • 上野 文義

記述言語
英語
会議種別

軽水炉環境におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)は重要な経年劣化事象の一つであると認識されている。多くの研究者がすき間形状となるSCCの先端はバルクとは異なる水溶液環境で腐食していることを指摘している。しかしすき間内の環境を直接その場観察した例は極めて少ない。そこで本研究では人工すき間を形成し、そこに小型の電気化学センサーを挿入することで高温高圧水中におけるすき間内の局部環境の測定を行った。実験としては、ステンレス鋼板2枚ですき間を構成し、片方の板に高純度アルミナで絶縁した$\phi$約300$\mu$mの電極をロウ付けしてセンサーとした。センサー付きのすき間試験片を温度288$^{\circ}$C、溶存酸素濃度32ppm、入口導電率0.06$\mu$S/cmの水中に浸漬し、インピーダンス法より、溶液導電率を測定した。実験の結果、すき間のギャップが60$\mu$mの場合、溶液導電率はバルク水と同等であったが、10$\mu$mの場合、バルク水よりも100倍以上の導電率が計測された。この導電率はpH約3に相当し、288$^{\circ}$C水の中性値である5.65と比較すると、すき間内ではギャップが十分小さい場合、局部的な酸性化が起きることを示した。