2016年4月1日
乳がんサバイバーにおける再発不安の構成要因の検討―再発の心配および対処行動の観点から―
行動医学研究
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- 巻
- 22
- 号
- 1
- 開始ページ
- 009‐017
- 終了ページ
- 17
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本行動医学会
【問題と目的】再発不安に関する研究の課題の1つとして、再発不安を構成する概念が定義されておらず、再発不安を抱える患者の臨床像が明らかになっていないことが挙げられる。そこで、本研究では、再発不安は再発の心配(情動および認知)と再発に関する対処行動(行動)によって構成されると定義し、不安および抑うつと関連のある再発不安の構成要因を明らかにすることを目的とした。【方法】調査方法は、乳がん罹患経験者の患者会に登録する会員220名に対し、患者会の定期刊行物の送付物に調査票を同封して配布した。回答後は同封した返信用封筒を用いて無記名にて郵送にて返送して頂いた。調査内容は、フェイスデータ、再発についての心配尺度(Concerns about Recurrence scale Japanese version:CARS.J)本研究で概念の検討を行った再発に関する対処行動尺度、HADSであった。調査対象者は乳がんに罹患した20歳以上の女性で再発していない者と定めた。再発不安の構成概念の中で不安および抑うつとの関連がある要因を検討するため、個人属性、再発の心配(情動および認知)と対処行動を独立変数、不安および抑うつそれぞれを従属変数とした階層的重回帰分析を行った。【結果】不安においては、診断からの経過年数、再発の心配の認知要因、生活時間の充実において関連が示された(診断からの経過期間:β=0.25、 p<0.05; 認知:β=0.41、p<0.01; 生活時間の充実:β=.0.44、p<0.01)。一方、抑うつにおいては、認知、生活時間の充実、再発リスクの回避に有意な関連が認められた(認知:β=0.28、p<0.05;生活時間の充実:β=.0.75、p<0.01;再発リスクの回避:β=0.32、p<0.05)。【考察】本研究の結果により、不安および抑うつと関連する再発不安の構成要因を明らかにし、再発不安を抱える患者の臨床像を明らかにした。乳がんサバイバーは10年以上経過した後も再発に関する様々な心配事を抱え、気晴らしになる時間を取り入れることができず不安が増悪している可能性が示された。さらに、再発のリスクを避ける行動を順守し続けて、日々の活動が制限され、抑うつ的になっている可能性も示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1341-6790
- J-Global ID : 201602275432900971
- CiNii Articles ID : 130006943162
- CiNii Books ID : AA11647042
- identifiers.cinii_nr_id : 9000391752570