共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2023年3月

卵子形成過程で合成される脂肪滴と卵子インテグリティの分子基盤に関する研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
21H00240
体系的課題番号
JP21H00240
配分額
(総額)
9,360,000円
(直接経費)
7,200,000円
(間接経費)
2,160,000円

排卵後の卵子の細胞質には脂肪滴が含まれることが古くから知られているが、いつから、どのように合成されるのかに関する情報は非常に乏しい。本研究は卵子に含まれる脂肪滴の生理学意義を最終的に明らかにすることが目的であるが、そのためには脂肪滴の出現時期をまず正確に理解することが前提となる。本年度は、マウス卵胞の体外培養系を用いて、卵子成熟過程における脂肪滴の合成や分布状況を詳細に解析した。この目的のために、出生10日後の雌マウスの卵巣から採取した(二次)卵胞を体外培養しながら経時的に脂肪滴の出現状況を観察した。その結果、採取直後の卵胞内卵子の細胞質では脂肪滴は全く観察されないが、培養5日目頃から脂肪滴が合成され、それ以降、脂肪滴は持続的に合成され卵細胞質内に蓄積されることが分かった。この体外培養5日目から起こる脂肪滴の合成は、生体内の卵胞内卵子でも同じタイミングで観察されることから、生体内で起こる脂肪滴の合成パターンを体外培養でも再現していると考えられる。一般的に脂肪滴は小胞体上から合成されると考えられていることから、次に小胞体と脂肪滴の局在関係性について解析した。小胞体と脂肪滴のそれぞれを蛍光標識してスピニングディスク型の共焦点型蛍光顕微鏡を用いてライブセル観察を行ったところ、脂肪滴は小胞体膜のごく近傍から出現することが明らかとなった。この結果は、小胞体上で合成される初期の脂肪滴特異的なタンパク質に対する抗体を用いた免疫染色の結果でも同様であった。さらに、電子顕微鏡を用いた観察からも、卵胞培養初期に出現する脂肪滴は小胞体のごく近傍に局在していることも明らかとなった。以上の結果から、マウスの場合、体外培養5日目頃(生後15日目頃)の卵胞内卵子で脂肪滴合成が始めることが初めて証明された。一方で、脂肪滴合成を引き起こす因子やシグナリング経路については今後の検討課題となった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-21H00240
ID情報
  • 課題番号 : 21H00240
  • 体系的課題番号 : JP21H00240

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