共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年8月 - 2025年3月

地球環境変動・資源生成の真に革新的な統合理論の創成

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(S)  基盤研究(S)

課題番号
20H05658
体系的課題番号
JP20H05658
配分額
(総額)
203,970,000円
(直接経費)
156,900,000円
(間接経費)
47,070,000円

2020年度において研究代表者らは,南鳥島EEZを含む北西太平洋の海底堆積物の全岩化学組成データを解析し,研究代表者らの先行研究で構築していたEEZ内の化学層序がEEZの外部にもそのまま拡張できることを明らかにした.これにより,北西太平洋の海山群が林立する海域の深海盆の堆積層序を対応づけることが可能となり,南鳥島EEZ内に見られる超高濃度レアアース泥は北西太平洋に広く分布していることを明らかにすることができた.また,国際深海科学掘削計画 (IODP) により採取された南北太平洋の遠洋性粘土を含む掘削コア試料を用いて,イクチオリス層序にベイズ推定を取り入れた新たなアプローチに基づく堆積年代決定と広域的な化学層序対比を行った.その結果,北太平洋の特定の緯度帯において約5,000万年間という長期にわたり高品位なレアアース泥層が堆積していたことを明らかにした.これらの研究と並行して,イクチオリス層序を用いた遠洋性粘土の堆積年代決定を精緻化・効率化するために,深層学習モデルに基づく画像認識手法を用いたイクチオリス化石の鑑定の自動化も進めている。さらに,地球環境変動の解読とグローバル物質循環の解明については,南太平洋ラウ海盆の海底掘削コア試料の全岩化学組成とOs同位体比の分析・解析により,過去30万年間の氷期-間氷期サイクルに連動して海水のOs同位体比が変動していることを見出した.この成果は,近年の地球温暖化で注目を集めている氷床体積の変動が,大気・海洋・生物圏のみならず,固体地球圏のプロセスにも影響しうることを示した点で画期的といえる.これは従来,大陸と海底火山で別個に議論されていたが,本研究ではそれらの影響を統合的に海水のOs同位体比から復元し,新しい地球化学的証拠を提示することに成功した.

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20H05658/20H05658_saitaku_shoken_ja.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H05658
ID情報
  • 課題番号 : 20H05658
  • 体系的課題番号 : JP20H05658