2020年7月
抗リツキシマブ抗体陽性の難治性ネフローゼ症候群に対してオファツムマブが有効であった男児例
日本小児腎不全学会雑誌
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- 巻
- 40
- 号
- 開始ページ
- 226
- 終了ページ
- 229
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本小児腎不全学会
リツキシマブ(rituximab:RTX)は、反復投与によりヒト抗キメラ抗体(human anti-chimeric antibody:HACA)を産生することがある。今回、HACA陽性のRTX抵抗性のネフローゼ症候群(nephrotic syndrome:NS)に対して、完全ヒト化新規抗CD20抗体であるオファツムマブ(ofatumumab:OFA)が有効であった症例を経験した。症例は4歳男児。2歳3ヵ月時にNSを発症し、その後にステロイド依存性NS(steroid dependent nephrotic syndrome:SDNS)となり、RTX 375mg/m2/doseを計3回投与した。しかし、RTX2回目以降のCD20陽性B細胞の枯渇期間が短縮(1回目:92日間、2回目:26日間、3回目:25日間)し、短期間での再発を繰り返した。血清HACA高値(RTX2回目投与前:HACA 278ng/mL)によるRTX抵抗性NSと判断し、OFA300mg/m2/doseを投与した。OFA投与後は、CD20陽性B細胞の枯渇期間が延長(121日間)し、NSの再発なく、prednisolone(PSL)を減量中止できた。RTXはHACA出現により、その血中濃度が早期に低下しCD20枯渇期間も短縮して治療効果が不十分となる可能性がある。OFAはRTX抵抗例に有効な治療法と考えた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1341-5875
- 医中誌Web ID : 2020379931