論文

査読有り
2017年12月

第VIII因子製剤持続輸注による血友病A患者の周術期管理の1例

有病者歯科医療
  • 杉山雄紀
  • ,
  • 高山岳志
  • ,
  • 林勝彦
  • ,
  • 加藤友莉奈
  • ,
  • 秋山浩之
  • ,
  • 伊介昭弘

26
6
開始ページ
465‐470
終了ページ
526
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本有病者歯科医療学会

血友病患者の周術期管理では、本症の治療に際し、その重症度や手術侵襲により凝固因子の補充療法が必要となる。補充療法のうち、持続輸注はトラフ値を一定レベルに維持するため、止血管理や凝固因子製剤総投与量の抑制において、その有効性が示されている。今回、抜歯後出血を繰り返した血友病A患者の口腔外科手術で、第VIII因子製剤持続輸注下で周術期管理を行った症例を経験した。患者は26歳男性。既往に血友病Aがあり、遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤を定期補充している。上下顎智歯の抜去依頼で当科を紹介受診した。パノラマエックス線写真で右側上顎前歯部に境界明瞭、類円形の嚢胞性病変も認めたためCT画像で精査し、智歯抜歯終了後に全身麻酔下で顎骨嚢胞摘出術を予定した。周術期の第VIII因子製剤の補充療法は、智歯抜歯の際に後出血を認めたことや手術侵襲から内科と連携し、第VIII因子製剤の持続輸注とした。術中は異常出血や凝固異常などは認めず、術後の出血や血腫形成などの合併症や凝固因子インヒビターの出現は認めなかった。摘出標本の病理組織学的診断は歯根嚢胞であった。口腔外科手術での補充療法として、第VIII因子製剤のボーラス投与が多く、計画的な持続輸注による周術期管理の報告はない。今回、後出血を繰り返す血友病A患者の周術期管理に第VIII因子製剤の持続輸注は有用だった。後出血や続発する合併症リスクが高いことが示唆される場合、確実な止血管理を含めた周術期管理が重要である。(著者抄録)

リンク情報
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201802290512247194
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201802290512247194
ID情報
  • ISSN : 0918-8150
  • eISSN : 1884-667X
  • 医中誌Web ID : 2018256341
  • J-Global ID : 201802290512247194

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