共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2025年3月

会計情報の複雑性と自発的開示に関する理論的・実証的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K02012
体系的課題番号
JP20K02012
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究の目的は、会計情報の複雑性とその影響を分析し、負の影響がある場合はその軽減策(自発的開示)を明らかにすることにある。本年度は国内外の先行研究の整理を通じて、会計情報の複雑性の要因とその経済的帰結を分析した。その成果は、国際会計研究学会スタディグループの中間報告書に掲載されている。
本年度明らかになったのは次の4点である。①会計情報の複雑性の要因は、商取引の複雑化・高度化、会計・開示制度の複雑化、経営者の意図の3つに整理できる。②先行研究では、セグメント数などの企業特性、決算資料の単語数、決算資料の可読性、会計方針の単語数、注記における収益認識の単語数と収益認識方法の数、Compustatの項目数、XBRL決算資料の項目数といった7つの指標が、可読性の尺度には、Flesch-Kincaid readability、LIX readability、RIX readability、Gunning Fog readability、ARI readability、SMOG readabilityといった6つの指標が利用されている。いずれの指標も、値が高いほどテキストの可読性が低い(読みにくい)。③複雑な会計・開示制度は取引または企業の経済的実体を理解する投資家の能力を損ない、投資家の情報環境を悪化させるとして、基準設定者にネガティブに捉えられている。④基準設定者は会計情報の複雑性に対処するため、会計基準の簡素化に向けて取り組んでいる。企業においても、複雑な会計基準を適用する際に自発的開示(業績予想の開示)を増やしたり、会計情報が複雑な企業は取締役会や監査委員会に会計専門家を積極的に採用したりすることが観察されている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K02012
ID情報
  • 課題番号 : 20K02012
  • 体系的課題番号 : JP20K02012