MISC

2013年10月

マゴット治療により歩行機能を温存できたCLIの治療経験

函館中央病院医誌
  • 前田 拓
  • ,
  • 木村 中
  • ,
  • 高橋 紀久子
  • ,
  • 伊藤 梨里
  • ,
  • 一村 公人

15
開始ページ
7
終了ページ
12
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
函館中央病院

症例は78歳男性で、慢性腎不全で維持透析治療中であった。重症下肢虚血(CLI)の状態で右足部に潰瘍を認めた。血管細胞移植による血管再生治療を受けた。潰瘍は難治で、右下肢の血行再建を施行された。皮膚灌流圧(SPP)は血行再建後に右足背30mmHg、右足底40mmHgまで改善した。しかし、再び虚血が進行し、右足内側でSPPが10mmHgまで低下したため、再度、右下肢の血行再建が施行された。その後、前脛骨部での閉塞を認め、血行再建を施行された。再建後、右足部の潰瘍悪化を認め入院した。右I趾、II趾、V趾中足骨頭外側に骨の露出を伴う潰瘍を認めた。足趾X線で明らかな骨の融解像などは認めなかった。ABI右0.57、左0.50、SPP右足背部42mmHg、右足底部42mmHgであった。高圧酸素療法、血管拡張剤、スプレーによる保存的療法を開始した。SPPが40mmHg以上となる部分で全ての潰瘍部を含めるように横断的中足骨切断での切開線をデザインし、デブリードマンの際には第1、2中足骨間のリスフラン関節遠位に存在する動脈-動脈結合および中足骨部軟部組織を温存した。術後の安定した歩行機能を温存するために足底の縦のアーチが形成されるように中足骨を切断した。断端部は術前にSPPが40mmHg以上あり、また、術中所見で断端の組織から血流が確認されたため粗に縫合した。

ID情報
  • ISSN : 1341-9056
  • 医中誌Web ID : 2015149808

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