共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年6月 - 2022年3月

X線干渉計に向け超伝導遷移端型カロリメータを応用する高位置精度X線検出器の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
19K21884
体系的課題番号
JP19K21884
配分額
(総額)
6,500,000円
(直接経費)
5,000,000円
(間接経費)
1,500,000円

本研究では、1台の衛星で実現できる高空間分解能のX線干渉計を目指し、高精度でX線光子の入射位置を特定できる極低温センサーの開発を行っている。2個のセンサーの間のパルスの立ち上がりの時間差を用いて、X線光子の入射位置を特定できる新しい原理の素子を考案し、TiおよびAu薄膜でできた~100 um四方の超電導遷移端(TES)センサー2個を~1 mmの間隔をあけて配置し、その間に長さ~1 mm、幅~20 um、厚さ~1 umのAu吸収体を取り付ける形で、素子のデザインを行った。
まず、数値シミュレーションでこのデザインの検証を行うため、素子の熱数学モデルを構築し、有限要素法を用いてX線光子が吸収体に入射した後の熱拡散を計算することで、入射位置によって2個のTESセンサーのパルスに異なる時間差が生じることを確認した。デザインの検証ができたため、次に、首都大学東京(現・東京都立大学)および宇宙科学研究所のクリーンルームにて、マイクロマシニング技術を用いてこの素子の製作を行った。現在、冷凍機を用いてセンサーを極低温まで冷却した上で、線源を用いてX線を照射する実験の準備を進めている。さらに、放射光施設にてX線マイクロカロリメータを用いる実験に参加し、ビーム環境下で極低温センサーを長時間冷却し、安定に駆動させることができるか検証を進めた。また、活動銀河核の構造に関連する研究会に参加し、巨大ブラックホールやその周辺の様々な構造のX線干渉計による空間分解に向けて、本研究で開発する素子に求められる光子の入射位置の特定精度の検討を進めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K21884
ID情報
  • 課題番号 : 19K21884
  • 体系的課題番号 : JP19K21884