2008年4月
溶存態有機物中放射性炭素測定システムの開発と海水中溶存有機炭素の循環に関する研究
JAEA-Conf 2008-003
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- 終了ページ
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- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
海水中溶存態有機物(DOC)の挙動解明は、放射性物質等の海水中での挙動や地球温暖化の影響を紐解くうえで重要な因子である。このDOC動態の時間スケールや供給源情報を与え得る放射性炭素同位体比($\Delta$$^{14}$C)の測定は、測定の困難さによりデータが極めて少ない。本研究で開発した紫外線照射によるDOC酸化システムは、高酸化効率が得られ、高精度なDOC中放射性炭素の測定を可能とした。このシステムを用いて、日本海でのDOC鉛直分布を得ることに成功した。日本海大和海盆におけるDOCの$\Delta$$^{14}$Cは、表面で高く(-192‰)、深さとともに減少し、1000m以深では-306‰で一定となった。日本海深層の$\Delta$$^{14}$Cは、東部北太平洋の値(-550‰程度),西部北大西洋の値(-350$\sim$-400‰)より高い値を示しており、これは、おもに両海域における海水循環の時間スケール(大西洋:約1000年,太平洋:約2000年,日本海:約500年)に起因していることが明らかになった。