共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2020年3月

抗PD-1抗体治療後の末梢血B細胞のレパトア解析と抗原特異性の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
18K19490
体系的課題番号
JP18K19490
配分額
(総額)
6,240,000円
(直接経費)
4,800,000円
(間接経費)
1,440,000円

本研究の目的は、抗PD-1抗体で治療された各種がんにおいて、① 末梢血のB細胞受容体(BCR)レパトア解析の臨床的意義(特に、治療効果・有害事象合併を予測するバイオマーカーとしての有用性)、② 有効例あるいは有害事象合併例において選択的に増殖するB細胞クローンの認識する抗原の同定と作用メカニズムとの関連、を明らかとすることである。本研究の成果は、抗PD-1抗体の作用メカニズムを解明するとともに、不必要な治療による不利益(有害事象合併・医療費浪費)の回避につながると期待される。
本年度には、① 抗PD-1抗体で治療された進行非小細胞肺がん患者(n=30)の治療開始前後に採取した末梢血B細胞におけるBCR配列を決定した。BCRレパトアの多様性を治療前後で比較したところ、有効(PR)例では無効(SD・PD)例に比較して、治療後のBCRレパトアの多様性が有意に減少した。また、治療後のBCRレパトアの多様性変化により患者を2群に分けると、多様性減少群の無増悪生存期間が有意に延長した。以上の結果から、進行非小細胞肺がんに対する抗PD-1抗体治療後のBCRレパトア多様性の変化が治療効果を予測するバイオマーカーとして有用であるものと示唆され、現在論文投稿中である。② 抗PD-1抗体で治療された進行尿路上皮がんの患者(n=10)の治療開始前後に採取した末梢血B細胞におけるBCR配列を決定した。次年度に症例をさらに追加して、尿路上皮がんでのBCRレパトア多様性の変化と臨床効果・有害事象合併との相関を統計学的に検討する予定である。③ 上記のBCR遺伝子解析の結果から、有効例の治療後に選択的に増加したB細胞クローンに由来するBCR(IgG H鎖およびL鎖)の遺伝子配列を同定し、精製抗体を作成中である。次年度には、抗体の反応性解析および認識抗原の同定を実施し、その臨床的意義を検討する予定である。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-18K19490/18K19490seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K19490
ID情報
  • 課題番号 : 18K19490
  • 体系的課題番号 : JP18K19490