Apr, 2019 - Mar, 2023
地方選挙の実証研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究
- Grant number
- 19K13614
- Japan Grant Number (JGN)
- JP19K13614
- Authorship
- Principal investigator
- Grant amount
-
- (Total)
- 4,160,000 Japanese Yen
- (Direct funding)
- 3,200,000 Japanese Yen
- (Indirect funding)
- 960,000 Japanese Yen
本年度は、前年度までに整備した地方選挙データベースに基づく分析結果について、国際シンポジウムなどで研究成果報告を行った。具体的には、日本の全市区町村長の選挙結果と、当該自治体の財政データとを組み合わせて、現職の首長の再選が、当該自治体の財政運営に及ぼす影響を推定した。まず、本研究課題では、既に①都道府県議会選挙では、選挙区定数が小さいほど、現職議員が再選されやすいこと、②市区町村長選挙では、自書式投票が現職者の再選確率の上昇と相関していることが明らかになった。前記の研究は、これらの現職優位の政策的帰結、とりわけ市区町村長の再選が自治体の財政運営にどのような帰結をもたらしうるかを検証するものである。接戦選挙に基づく非連続回帰デザインの分析結果からは、現職の首長が僅差で再選された自治体では、現職の首長が僅差で落選して新人の首長が就任した自治体に比べて、任期の後半になるにつれて総務費や投資及び出資金などの行政費用が増加することが示された。広範な歳出費目に及ぶものではないものの、現職の再選が行政組織の硬直化をもたらす可能性があるのではないか。一方、研究の過程では、国政選挙と地方選挙の異質性から、分析結果の理論的解釈について異論が付されることもあった。そこで、次年度は、既に国際シンポジウムなどで報告済みの分析結果を国際的なジャーナルに投稿するとともに、地方選挙そのものの特殊性についても、追加的な分析を行う予定である。
- Link information
- ID information
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- Grant number : 19K13614
- Japan Grant Number (JGN) : JP19K13614