共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

癌の骨破壊病変に対する銅のキレートを応用した治療戦略の構築とその制御機構の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03889
体系的課題番号
JP20H03889
配分額
(総額)
13,260,000円
(直接経費)
10,200,000円
(間接経費)
3,060,000円

本研究課題は,生体銅を標的とした癌の骨破壊病変に対する新規治療法の開発とその制御機構の解析を目的としている。具体的には,銅のキレート薬(Ammonium Tetrathiomolybdate;TM)の癌の骨破壊病変(骨浸潤・高カルシウム血症・骨転移・癌性骨疼痛)について,臨床材料ならびに疾患モデルを作製してその有効性と作用機序を解析する。本年度は,動物実験モデルに対する銅キレート剤TMの効果の検証を行った。
1)高カルシウム血症を引き起こす口腔扁平上皮癌細胞株TM10(理研細胞バンク)をマウス皮下に移植し作製した高カルシウム血症動物モデルに対してTMによる薬物効果を評価したが対象群と比較して明らかにTM投与群で高カルシウム血症の改善を認めた。2)TMは破骨細胞性骨吸収阻害作用(破骨細胞形成抑制)のみならず血管新生阻害作用を有していることが知られている。担癌モデルではTMの血管新生阻害作用による抗腫瘍効果による二次的な高カルシウム血症の改善効果を示した可能性がある。そのため副甲状腺関連蛋白(PTHrP)をオスミックポンプを用いてマウスに持続投与する非担癌高カルシウム血症モデルを作製しTMの効果を検討した。結果にはバラツキが大きくTMの効果に有意差を見いだせなかった。この点については再検の必要はあるが,少なくとも癌誘発高カルシウム血症に対しては臨床的有用性が明らかとなった。3)癌性骨痛に対する評価:口腔扁平上皮癌細胞株SASをマウス脛骨骨髄腔内に注入し骨浸潤モデルを作製した。腫瘍定着確認後からTMを経口投与し,腫瘍投与後に生理的行動検査であるvon Frey testを継続的に実施したところTM投与群では疼痛閾値の上昇を認め,TMは癌性骨痛の改善効果を示すことが明らかとなった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03889
ID情報
  • 課題番号 : 20H03889
  • 体系的課題番号 : JP20H03889