共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

植物の低温馴化過程における温度と青色光の認識機構

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H03961
体系的課題番号
JP17H03961
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

異なる光と低温条件下での低温馴化:青色光受容体フォトトロピン(PHOT)と低温馴化機構の関係についてシロイヌナズナPHOT欠損変異体(phot1phot2)と野生型(gl1)を用いて比較した。低温馴化の前後での植物体成長率(葉面積)と光合成活性を測定したところ、白色光で低温馴化した場合はPHOT欠損変異体で成長率が悪く、低温馴化期間における光合成活性低下度も大きかった。青色光では、逆に、PHOT欠損変異体で成長は良かったが光合成活性には差がみられなかった。従って、低温下におけるPHOTの機能は青以外の光が共存するか否かで異なることが示唆された。次に、白色光条件で7日間低温馴化した場合、細胞膜機能あるいは光合成機能で評価した凍結耐性にはPHOT欠損の影響は認められず、白色光下ではPHOTが与える凍結耐性への影響は少ないと言えた。光合成活性で評価した場合、青色光下で低温馴化した場合はPHOTの有無に関わらず白色光条件ほど凍結耐性が上がらず、さらにPHOT欠損変異体で凍結耐性が高い傾向が見られた。また、低温誘導遺伝子(CBFsやCOR15a)はPHOTの有無にかかわらず低温で誘導された。一方、青色光誘導遺伝子(HY5、CHS、CHI)もPHOTの有無にかかわらず低温馴化で発現誘導された。以上の結果から、低温馴化中にPHOTを介して受容される青色光情報は光合成を介して植物の成長に関与するが、凍結耐性機構にはクリプトクローム(CRY)を介した青色光情報より影響が弱いことが示唆された。
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タンパク質変動解析:低温馴化過程の温度や光質条件を変えた場合のプロテオーム解析およびデータ解析を継続している。今後、プロテオームの結果と遺伝子発現データなどを組み合わせ、温度と光質の認識機構を明らかにしていく。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H03961
ID情報
  • 課題番号 : 17H03961
  • 体系的課題番号 : JP17H03961