共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2022年3月

細胞導入型バイオメンブレンの新規開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K18561
体系的課題番号
JP20K18561
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

歯科インプラント治療において骨量が不足する場合,バリアメンブレンを使用する骨再生誘導法が行われる。このメンブレンには骨再生のための空間保持や上皮系細胞の骨欠損内への侵入阻止などの機能とともに骨形成促進作用が要求される。現在このメンブレン材料には,生体親和性,力学的強度および操作性に優れるチタンが広く用いられている。チタン自体は生体不活性材料であり骨形成促進作用を持たない。そのためチタンに生体活性作用を付与する様々な表面改質法が提案されている。これまでインプラント体のような緻密体に有用な表面改質法は多く報告されているが,チタンメンブレンのような薄膜構造体に適用できる表面改質法については明らかとなっていない。そこで本研究は,チタン薄膜の生体活性を向上する表面改質法を明らかにし,これを用いた骨形成促進作用を有するチタンメンブレンの作製を目指すため,アルカリ処理によるチタン薄膜の表面改質法の検討,疑似体液中におけるチタン薄膜の生体活性作用の検討およびラット頭蓋骨におけるチタン薄膜の骨形成作用の検討を行った。これらの結果より,アルカリ処理はチタン薄膜に適した表面改質法であり,アルカリ処理されたチタン薄膜は生体活性作用を促進することが明らかとなった。また,アルカリ処理を行ったチタン薄膜はin vivoにおいて骨形成促進作用を有することが示された。
以上より,アルカリ処理チタン薄膜は,強度を維持しつつ生体活性作用が促進されることが明らかとなり,骨形成促進作用を有する新規チタンメンブレンに成り得ることが示された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K18561
ID情報
  • 課題番号 : 20K18561
  • 体系的課題番号 : JP20K18561