2017年4月 - 2021年3月
潮汐卓越型エスチュアリーにおける堆積モデルの再構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
研究2年目にあたり,昨年度から実施してきたメコンデルタの河口部を対象に,河川・海洋遷移帯の観点からエスチュアリーの地形と堆積物の解析を行った.ベトナムにおいて既に取得していた河川地形データと河床から採取した堆積物を解析を行った.これらの解析の結果,メコンデルタの河床地形や堆積物は,上流側と下流側で大きな違いがあり,河川地形では,川幅が一定で,下流に向かって水深が深くなり,河川の蛇行度が大きな上流部と,川幅が下流に向かって広く,また水深が浅くなり,蛇行度が小さく直線的な下流部に大別された.堆積物では礫を含み,泥分をほとんど含まない砂からなる上流部と,砂泥細互層からなり細粒な堆積物が卓越する下流部に分けられた.これらの特徴は,上流側が河川卓越の環境であるのに対し,下流側は潮汐卓越の環境であることを示している.これらの結果は,国際誌のSedimentologyから,2019年1月に出版された.これらの堆積物に含まれていた泥の偽礫の特徴を取りまとめて,国際学術誌のJournal of Sedimentary Researchから,2018年9月に出版した.ベトナムのドンナイ川における河床調査と,メコンデルタのバーライ放棄河道におけるボーリング調査を2018年度に実施した.これらの解析は,2019年度に実施の予定である.この他に同様な潮汐卓越型の大河川である長江デルタのエスチュアリーについて,地球化学的な特徴をとりまとめてMarine Geology に投稿した.またメコンデルタで明らかになった潮汐卓越型の大規模デルタにおける河床地形の特徴について,ガンジス・ブラマプトラデルタ,長江デルタ,イラワジデルタ,フライデルタにおいて,同様の解析を行い,これらすべてについて同様の特徴があることを見出した.これらの結果については,Earth-Science Reviewsに投稿し,受理された.
- ID情報
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- 課題番号 : 17H02980
- 体系的課題番号 : JP17H02980