共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年 - 2008年

初期胚パターン形成におけるWntシグナル促進因子Tsh3の機能解析

文部科学省  科学研究費補助金(基盤研究(B))  基盤研究(B)

課題番号
19370097
資金種別
競争的資金

我々は、これまでにSalFという転写因子がWntシグナルへの細胞反応性を負に制御する因子として機能することをアフリカツメガエルの初期発生系で明らかにしてきた。今回、SalFと拮抗する可能性のある因子の探索から、核内タンパクTsh3(Teashirt-related 3)が脊椎動物初期胚の体軸極性を制御する必須因子であることを見いだした。本年度は、この核内因子の初期胚における機能と制御機序の詳細に検討した。特に背腹軸の形成および中枢神経系のパターン形成におけるTsh3の役割を、アフリカツメガエル胚を用いて解析を行い、Tsh3-MOを中胚葉(特に背側)にも作用させたところ、背側の発生が抑制され、胚全体が強く腹側化することを見出した。逆にTsh3の強制発現は胚を背側化した。さらに Tsh3 が Wnt の canonicalシグナル経路にどのように作用するかを解明した結果、Tsh3はWntシグナルを増強し、Tsh3の機能阻害ではWntシグナルが減弱することを発見した。さらに、タンパク質レベルの解析から,核内因子Tsh3はWntシグナルカスケードの下流伝達因子であるbeta-cateninおよびTcf3と結合することが判明した。Tsh3の機能阻害実験から、Tsh3 はbeta-cateninが効率よく核内に蓄積するのに必須であることが判明した。Tsh3のWntシグナル増強は、Wntシ...

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/p/19370097
ID情報
  • 課題番号 : 19370097