共同研究・競争的資金等の研究課題

2005年 - 2006年

口腔における唐辛子カプサイシンおよび温度感覚受容機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

課題番号
17591916
配分額
(総額)
3,500,000円
(直接経費)
3,500,000円

唐辛子の主成分で脂溶性刺激物質であるカプサイシンが、口腔内でどのように受容されているかを明らかにすることを目的として実験を行った。MAPK (mitogen activated protein kinase)は成長ホルモンや増殖因子の刺激によって活性化され、細胞を増殖や分化に導くことは良く知られている。近年になって、このMAPKの活性化機構が神経の可塑性に大きく関与しており、脊髄の侵害受容ニューロンに特異的にMAPKのリン酸化が起こることが報告されている。そこで、このMAPKの中でも古典的MAPKであるERK (extracellular signal regulated kinase)のリン酸化を指標として、カプサイシン刺激により起こる変化を検索した。実験には6〜8週齢の雄性ラットを用い、ラットの口腔に、カプサイシン溶液または溶媒のみを口腔内に投与し、灌流固定をおこなった。その後凍結切片作製、免疫組織化学的にリン酸化ERK特異的抗体を用いて、蛍光抗体法により染色をした。(結果および考察)ラット口腔内へのカプサイシン刺激により、リン酸化ERK発現の増加が確認できた。リン酸化ERK発現神経は口腔粘膜の固有層から上皮内に認められた。また興味深いことに、味蕾内の神経にも発現していた。詳細な観察により、有郭乳頭や葉状乳頭では、カプサイシンによるERKリン酸化が顕著に起こったが、茸状乳頭では明らかにERKリン酸化がおこる乳頭とそれほど差がない乳頭が認められた。カプサイシンによる口腔内での感覚に舌の部位において感受性に差がある可能性が示唆された。40-50℃の温度刺激や酸刺激をくわえてみたが、ERKリン酸化ははっきりとは認められなかった。ERKのリン酸化がカプサイシン刺激の指標になりうること、味覚の伝達へ影響を与えていることが示唆された